適当に入ったファーストフード店で、隣の席に座った人たちの会話が気になった。
学校の同級生と年齢は大差無いのにまるで違うファッションの人たちで。
多分、こういう人をギャルって呼ぶんだと思う。
周りの人に聞こえるくらい大きな声での会話は少しマナー違反だと感じた。
ちょうど食事を終えたところで、注意する気にはならなかったけど。
その時、服装だけじゃなくてリカと呼ばれた人の胸を見て、思わず瞬きしてしまった。
すごい大きい胸……私に少し分けて欲しい。
率直にそう思ったけど、さすがに分けてもらうことは無理だとわかってる。
でも、その前に私はギャルたちの会話も聞いていた。
確か、「ざーめんを飲んだ」?とか。
ざーめんと言うのがなんなのか、分からなかったし聞くこともできず。
少し気になりながら店を出た所で、スマホにメールが届いたことに気付いた。
「わっ……すごい、ベストタイミング……」
メールの文面を見て目を丸くしてしまう。
今の様子を見られていたんじゃないかって思うくらいのタイミングだった。
もっとも、仮に見ていたとしても、ザーメンが気になってるなんて側から見えるとは思えない。
単純に、タイミングが合わさっただけなんだと思う。
私はすぐに返信の作成に取り掛かった。
当然、「ザーメン入りシュークリームを食べたいです!」と添えて。
送信を終えると顔を上げて、さっきのギャルの胸を思い出す。
送られて来たザーメンを食べて私もあんな胸に……!
その後に入ったのは、午前中に寄ったのと同じ大きい本屋さん。
いつも行く店とは違って複数階に渡ってフロアが広がり、人の数も多かった。
本棚の高さも高く、天井まで届きそうな木製の棚に、雑誌などの書籍が並べられている。
フロア案内を確認してからエスカレーターで3階に向かう。
午前中来た時には1階と2階にしか行かなかった。
3階には写真集や専門書などが置かれていて、あまり人の数は多くない。
パッと見た印象では、いつもの本屋より少ない位かも知れなかった。
私は写真集のあるコーナーへと一直線に向かう。
棚と棚に挟まれた通路に立って、適当な一冊を手に取り捲っていく。
クラシック音楽の流れる店内は静かで、写真を眺めるのに夢中になっていたこともあって
周りの様子は全く気にならなかった。
星を映した写真集、街がミニチュアのように見えるカメラで撮った写真集、様々な動物の映った写真集。
何冊か眺めてからふとスマホを見ると、結構な時間が経っていた。
私は本を棚に戻して駅に向かうことにした。
(この後の駅の描写については>>170後半と同じということで)
【ごめんなさい。お返事を作る時間が取れず間隔が空いてしまいました】
【それにお返事もいつもより短めで……重ねてごめんなさい】
【脅迫のタイミングは、あまり細かく考えていなかったので難しいですね……】
【ザーメン入りシュークリームを食べる動画を送った後、ザーメンの正体を教えて脅す……とかでしょうか】
【それか、脅迫は無くてもいいかなって思いました】
【思っていたよりガードが緩いっていうか無防備だったので……私】
【どこかのタイミングでアパートの合鍵を落としちゃって、それをストーカーさんに拾われて】
【部屋の中に色々痕跡残されちゃって、それでも気付かず】
【ストーカーに気付かないまま、遂には襲われて、それでようやく気付く……という感じでもいいかなと】
【勿論、脅迫がダメってわけではないです】
【ストーカーさんにタイミングから何からお任せする感じになっちゃいますけど】
【そっちの方がよりリアル感あっていいかもですね】
【いつ脅迫に転じるのかドキドキして待てそうです】