『蒼いちゃん(草かんむりにくしゃくしゃ感)』
『かわいい(確信)』
『レベル高いなー。ジュニアアイドルか何か?』
(やはり健全な交流サイトだからだろう、まだ書き込みもまともなものが多い)
(住所や電話番号を聞いた者も、やはり冗談だったのだろう、さらに突っ込んで聞いたりなどはしないようだ)
(書き込みに対して返事をしていく葵の映像も、普通の可愛い小学生らしいもので、いやらしさはまったくない)
(しかし……彼女が、適当に書き込まれた『ルール』を鵜呑みにしてしまった辺りから、空気が変わり始める)
『ゆ……ゆーぞーなしぞー(目そらし)』
『ネットはヤバくないのです……使う人がたまにまちがいをするだけなのです……』
『ルールあるよ! ルールあるよ! 絶対守らないとダメだよ!(必死)』
『まずいぜ、アオイちゃんルールを知らないのか……これがバレたら親にネット環境取り上げられるな』
『いや、まだ取り返しはつく! 俺たちが、俺たちがルールを教えてあげれば大丈夫だ!』
『そうだそうだ! アオイちゃん、まずはお胸のルールを守るんだ! じゃないと……ガクガクブルブル』
(そんな書き込みがずらずらと流れ……葵が、シャツの胸元をくいっと広げるような仕草を見せると)
(勢いは、さらに加速した)
『そうだ! その調子だアオイちゃん!』
『もうちょっと! もうちょっとで許される!』
『あーダメだ、ひっぱり方があと三センチぐらい足りない!』
『頑張れ! ためらうな!』『もうちょっと! もうちょっと!』『あれ、もしかして女神降臨の気配?』
『早くするんだーっ! 間に合わなくなってもしらんぞーっ!』『最低でもチクビ見えないとアウト』
『もう時間がない! 一気にシャツ全部脱がないと、ケーサツ来ちゃうぞ!』
(画面からあふれるように、葵を急かす書き込みが連続する)
(書き込んでいるネットの向こうの人たちは、さぞ鼻息を荒くしているだろう……)
【はい、じゃ、あらためてよろしくねー】