ハァーッ……
(チラリと視線を車窓の外の風景に視線を走らせてから、最近買い換えたiPhoneに視線を落とす)
(画面に映っているのはラインではなく、読書が趣味という地味な自分らしくKindle上の電子書籍)
(通っている大学の最寄り駅の改札への階段と女性専用車両が両端同士でなければ……)
(考えても仕方のない愚痴が頭から離れず、男性とも体が触れている満員車内で思わず溜息が漏れる)
(もっと早い時間に家を出れば良いのだろうが、授業の他に歌や芝居のレッスンや少ないながらも取材を受けたりすれば遅くなることもある)
(寝不足は肌に悪いし、ギリギリまで寝ていれば授業が始まる間際の時間になってしまうのは我慢するしか無い)
…………
(ふと視線を感じて顔を上げれば、少し離れたところにいるエロ中年むき出しのおじさんと視線とあって羞恥に視線を逸らしてしまう)
(頭の中心からきっちり分けて作った二本の三つ編み、黒縁の伊達眼鏡)
(淡いパステルグリーンのフリル付きレギュラーカラーのブラウス、清楚な白地に小さな花柄のフレアスカート、ヒールではないブラウンのショーツブーツ)
(親友が言うように芸能人オーラのない自分が、白鳥真悠だとは万が一にも気づかれてる心配はないだろうが)
(でもブラウスを大きく押し上げる胸の辺りをジロジロと凝視されれば、やはりいい気分はしないどころか嫌な気分になる)
(今の仕事は好きだし、辞める気はないけれど……)
フッ……
(小さく息を吐き、癖でもある髪を弄れば、丁寧に結んだ三つ編みが揺れてうなじの三ツ星のようなほくろが顕になって)
(近くにいる熱狂的なファンに、自分の素性を知らせてしまったとは夢にも思っていなかった)


【出来れば正面からではなく、背後かサイドから痴漢行為をして頂ける展開を希望します】
【こんな感じの出だしですが、よろしくお願いしますね】