>>155
(日は少し遡って8月31日の夜…)
(伸太は夕食後、コソコソと家を抜け出していた)
(伸太が家を抜け出して1時間ほど…キラリの携帯に、伸太からの着信)

『ぶひひ…キラリ様…今はお部屋にいらっしゃいますぅ?』
(わざわざ電話をかけてきて、隠し事をしている子供のようにソワソワと様子をうかがっていた)

『ちょっと窓を開けて、空を見てくださいよぉ…面白いものが見れますよぉ?』
(キラリが窓の外に目を向ける頃合いを図ったように、電話の向こうでゴソゴソと音がする)
(そのほんの数秒後…窓の外が明るく輝き、夜空に爆音が響いた)

『ぶひひ!驚きました?花火は花火大会だけだと思ってました?』
『実はぁ…お祭りの日に屋台を手伝う条件で、花火を作ってもらって、今夜だけ打ち上げ装置を借りたんですよぉ…』
(夏の最終夜を騒がす花火は、星形の花弁のような花火と、キラキラと散る点滅式のスターマイン)
(キラリをイメージしたような煌びやかな輝きが、キラリ一人のために夜空を賑やかす)

『お祭りもお盆も、一緒にいられませんでしたからねぇ…僕からの夏のプレゼントですよぉ』
『僕の大切なご主人様へ…感謝と愛を込めて…綺麗だけどド派手なキラリ花火ですよぉ!』
『…ん?なんか焦げ臭…ぶひぃぃ!!尻尾に引火…熱ッ!!ぶぎゃぁぁ!は、花火が…花火にぃぃ!!』
(ドンドンとうるさい電話の向こうが、さらに騒がしくなる)
(会話もままならないほど無様に騒ぐ声の後、ひときわ大きな花火が夜空に大輪の花を咲かせた)
(直後、花火が上がっていた河原から離れた天宮家の庭に、黒焦げの豚がドサッと落ちてきたが、家人はみな花火に夢中で誰も気づいてはもらえない)

【夏祭り、おつかれさまでした!もうちょっと絡めたら天宮家の皆様ともお話できそうでしたが…残念です…】
【ひと夏楽しく過ごさせてもらったお礼に、キラリ様に向けて派手なプレゼントを…】
【新学期も始まりますし、学校編なんかも面白そうですね!これからもよろしくお願いします】