(緊張した面持ちではあったが、雪枝さんの優しい声に安堵し…)
(家の中から足音が聞こえ、鍵を開ける音が聞こえる。そしてがちゃ、と玄関の扉が開かれ、雪枝さんが姿を現す。私より背が高くて…スタイルも抜群。小さな頃から大好きで憧れのお姉ちゃんは時が立つにつれ魅力的になっていくようでもあった)
(扉を開いた彼女の姿を見ると、不安げな表情はどこへやら。ぱぁっと明るい笑みを浮かべ)
こんばんは!ごめんなさい、変な時間にいきなり来ちゃって……。
でも、最近会ってなかったし、お菓子も作ったから…だから、会えたらいいなと思って来たんだ。
(女性らしい身体やその顔つきに似合わず、少年のような可愛らしく、元気な声で挨拶。その後すぐに申し訳なさそうな苦笑いを見せて、夜の訪問を詫びる)

ほんと?良かった…じゃあ、お邪魔します。
(上がって、との声にホッとした様子の芹は、雪枝さんの家に入る前に行儀よくそう言うと玄関へと一歩)
お姉ちゃんの家、久しぶりだなあ……何時ぶりかな。
(小さな頃は頻繁に来ていたこの家。しかし雪枝さんも私も、学業や部活、バイトなどで忙しくなり、中々会えない日々が続いていた)
(久しぶりの玄関の風景は昔から変わらなかった。どうしてかそれが嬉しくて…つい、家に上がるのも忘れてお姉ちゃんにぎゅ、と抱きつく)
(ばたん、と後ろで玄関の扉が閉じる音が聞こえる、しかしそれも気にせず、やわらかな雪枝さんの身体に身を寄せる)
(自慢ではないが私も胸は大きい。ウエストはちょっとお肉がついてるし、おしりも大きいけど……)
(二人の胸が当たり、お互いにむにゅリと押しつぶされる。このまま寝てしまえそうなほどに気持ちのいい抱き心地。お姉ちゃんの久しぶりのにおい。)
えへへ……ごめんなさい、久しぶりだったから…つい。
(芹よりも数センチ背の高いお姉ちゃんの目を上目遣いで見て、照れくさそうに笑う)

(ふと自分の姿に気がつく…うっすらと汗ばんだ肌。お姉ちゃんの綺麗な服を汚してしまう、と慌てて身を離す)
(ごめんね、ともう一度謝り、申し訳無さそうに後ろ頭をかく……すると、遠慮がちな雪枝さんの部屋へのお誘い)
うん!お姉ちゃんの部屋…久しぶりだなぁ、ちっちゃい頃はいっつも来てたのにね。
(小さな頃から雪枝さんとの関係は変わらない。頼もしく感じるその背中について、彼女の部屋へと向かった)
(そして雪枝さんの部屋へ。シンプルで落ち着いていながらも清楚な女性の部屋…この風景も昔から変わらない)
(バイクや車の雑誌が積んであったり、ミニカーなどのおもちゃが並ぶ男子高校生のような私の部屋とは大違いで、少し羨ましくなってしまう。)
(雪枝さんは私を部屋に残し、お茶を淹れに行く。1人残された私はきょろきょろと部屋を見渡し、思い出にひたる)
(よくここで私のわがままに付き合ってもらった。おままごとでお菓子や料理を作って、レストランごっこをした事もあった)
(当時は玩具のクッキーや野菜だった。しかし今机に置かれているのは私が作った本物のお菓子。雪枝さんは喜んでくれるだろうか?不安と期待に胸が騒ぐ)
(紙袋を開き、食べやすいように机の上に用意しておく。お姉ちゃんはまだかな?とそわそわし始める)

【こんばんは!ごめんなさい、おまたせしてしまいました】