(とある週末、千歳は親戚の叔父さんのところに遊びに来ていた)
(というのも、叔父さんの家には話題の最新型ゲームがあるからだ)
(それは専用に作られた仮想空間に感覚ごとダイブするRPG)
(そのリアルさに中毒者が続出するほどのゲームを、千歳は叔父さんの家で初体験していた)


(そして今、千歳は洞窟の中にいる)
(ちなみに、最初のキャラクター作成で外見を自分に似せている)
(壁に触れる手の感触、地面を踏む足の感触、さらには分泌される唾液、汗の感覚)
(それはまるで、千歳自身が冒険しているような感覚だった)
…すごぉい
(洞窟内をキョロキョロしながら、驚きと喜びに満ちた笑顔を見せる千歳)
すごい!すごい!すごいすごいすごーい!!
ホントにホントに、ぼくゲームの中にいるよぉ!
(ピョンピョンと跳ねながら手をブンブン振る千歳)
(本当に楽しそうに、初めてのゲームを満喫しようとしている)

(だが千歳はまだ知らない)
(ゲームを始めてダイブした時、体を電気のようなものが走った)
(千歳はそれをダイブの時に感じるものだと思っていたが、普通はそんな電気のようなものは感じないのだ)
どうしよっかなぁ?
どこいこっかなぁ?
(自分の身に起きたことも知らず、千歳は無邪気にはしゃいでいる)

【叔父さん、おまたせです!】
【明日だけど、長い時間はできないけど来れると思うよ】
【時間はたぶん、18時〜21時くらいかなぁ】
【じゃああらためて、今日はよろしくね!】