あーもぅっ、たまんないよぉ!
こんなにすごいゲームだなんて思わなかったぁ!
(ピョコピョコ飛び跳ねる千歳)
(よほど嬉しいのか、満面の笑みでまだ周囲をキョロキョロ見渡している)
あっ、そうだ、冒険冒険っ♪
(思い出したように歩き出す千歳)
(考えなしに始めたゲームだから、とりあえず適当な方向へ進む)
(その時、どこからか千歳を呼ぶ声が聞こえた)
ひゃっ!
…い、今の…叔父さん?
(それは、今日千歳を家に招いた叔父さんの声だった)
叔父さん、え…叔父さんなの?
(どこからか聞こえる声の主を探す千歳に、その声は衝撃的な事を伝えてきた)
えっ…え、え…?
閉じ込め、られた…うそ、だよ、そんなの…
(あからさまに動揺し、見えない声の主に向かって叫ぶ)
だ、だって…ほら、こ、こうして…あ、あれ…?
(そして千歳は、自分でゲームから抜け出れない事に気づく)
(コントローラーも何も持たない千歳には、その手段を何も見いだせない状態だった)
う、ぁっ…で…出れない、よぉっ…叔父さんっ…ぼく、出れないよぉ!
(思い切り涙目の千歳に、叔父さんが方法を伝えてくる)
(たしかに、マンガとかアニメではそういう解決法がよくある)
う…ひっく…わ、わかった…
(目のふちにたまった涙を拭うと、千歳は言われたとおり街のある方向へ歩き始めた)
(…歩き始めて少しして、千歳は岩の脇に宝箱が置いてあることに気づいた)
…なにか、入ってるのかな…
(RPGでは始めたばかりの場所の宝箱にはまず罠はないが、今の千歳は何を見ても罠っぽく見えてしまう)
お、叔父さん、こんなの落ちてたんだけど…どう、しよう?
(不安な表情で千歳は叔父さんに向かって話しかける)