ひどいことか…それはすまなかった。
俺があの時、席をはずしたりしなかったら…。
(そう口にはしたが、それで解決できるかはまた別の問題かもしれない)
このゲームをクリアしないと、千歳は元の世界に戻って来れないかもしれない。
このままゲームを終わらせたら、もしかしたらもっとひどい目にあうかもしれない…。
千歳、辛い思いをさせてごめんな…。
でも、もう少しだけ頑張ってみないか?もう辛い思いをさせたりはしないから。
(千歳を優しく励ましながら、どうにかショックを和らげる方法はないかと模索する)
(設定の画面に、記憶を引き継ぐという項目があり…そこを良く見てみるとゲームオーバー時の記憶を引き継ぐ設定になっているようだ)
(それをOFFに切り替えてみると…千歳の残酷な記憶にもやがかかり、ステータス的には覚えているが、記憶は曖昧)
(という状態になるだろう)
千歳、これでどうだ?辛い記憶は出てくるかな?
(尋ねながら千歳の顔をアップに映し、マウスのカーソルでそぉっと頭を撫でるように動かしてみる)
(ゲームの中の千歳には、その感覚が伝わるかはわからなかったが…)
用心棒のバイトは危険だからやめようか。
だとしたらどんな仕事がいいかなぁ…。
(そう千歳と相談しているところで、宿屋のオヤジが声をかけてきた)
「何か辛いことでもあったのかい?さっきのミルクティーはおごりだ」
「俺はこの酒場と宿屋を切り盛りしてるんだが、もしよかったら相談に乗るぞ?」
「駆け出しの冒険者だってなら、出世払いで宿を貸してやってもいいぞ」
(宿屋の主人はニカっと笑い、ぽんぽんと優しく千歳の頭を撫でた)
「この酒場でバイトをするってのも歓迎だ」
千歳、これはメインクエストみたいだ…宿屋に進めばよかったんだな。
ここを拠点にして色々話が進められるみたいだ。
【それなら、記憶は曖昧にしちゃいましょう!】
【進めやすい方がいいと思いますし】
【せっかくなので、ここで宿屋を自由に使えるようにしてみました】