>>99
うわっ……扉が勝手に……
じ、自動ドア……なのかしらね?

(館に近付いて扉を開けようとしたら、触る前にゆっくりと開いた)
(重々しい音を立てる扉は、自動ドアって感じじゃない)
(それでも、まさか本当に幽霊屋敷だなんて信じたくない私は、そう思い込むことにする)

(恐る恐る中に入ってみると、屋敷内は思っていたほど暗くない)
(外の光が届くようになってるからだろう)

ここまでは予想通りって感じかしら
? なにか書いてある……?

(内装は外見通りの洋館風という感じで特筆する点は無さそう)
(いきなり幽霊と遭遇……なんてことはなくてホッと胸をなで下ろす)
(これからどうしようと思いながら辺りを見回して、玄関横の机に今更気付いた)
(やっぱりまだ緊張してるのかも知れない)

はきものを全てお脱ぎに……って、靴脱がないといけないの?
見た目は洋館なのにそういう所は和式なのね

(はきものが靴のことなのは私でもわかる)
(全て、なんてわざわざ書くのは、靴下も含めてってことかな?ともすぐ思い付いた)
(髪が少し滲んでることも気になったけど、マナーを守るのをまず優先)
(紙の裏側を見るなんて発想は無かったし冷静さも無かった)
(紙から目を離して、履いていたスニーカーと白いソックスをササっと脱いで手に持つ)

うう……、少しひんやりして気持ち悪……
下駄箱とか、無いのかな……?

(赤い絨毯の所はまだいいけど、白い床に裸足で触れると少しビクっとする)
(靴を手にしたまま、下駄箱が無いか探そうと……)

……?

(奥に向かって歩き始めて少ししてから、誰かの視線に気付いた)
(足を止めて顔を前後ろ左右上下と動かしてみても、どこから誰が見ているかわからない)
(気のせいかなと考えて、小さく頭を振ってから私はまた奥に向かおうとした)

【……っ!? は、はじめまして……】
【よかった、人いたんだ……あ、いや、人じゃない?】
【い、いや、人よ! 人に決まってるわ!】
【幽霊なんているわけないものね……?】
【と、とにかく、よろしくお願い……しますっ(深々とお辞儀)】