>>108
(パーカーは袋には入らなかったが、靴や靴下と一緒に手で持ち運べば由依の私服は一つ残らず持ち運ぶことができるだろうが、片手がそれでふさがってしまうと言う難点もあるだろう)
(由依が鏡を探すと張り紙が貼られている扉の裏側が姿見になっていることがわかる)
(綺麗に磨かれた鏡で由依がちゃんと巫女服をまとっていることもわかる)

(扉を開けると中は古い日本の屋敷のような様相の廊下につながっていた)
(明かりは行灯によってぼんやりとしたものが橙色に周囲を照らすのみで詳しい地理などは把握するのに困難が予想されるだろう)
(そこから少し奥に進むと襖が閉ざされており耳を澄ませると中から小さい鈴の音が聞こえる)

(襖を開ければ中は畳の敷かれた少し広めの部屋につながっている)
(大きさは20畳ほどで部屋の中央には小さい子供程度なら入れそうな大きさの壺が蓋を少し開けた状態で置かれている)
(ここも行灯が所々に置かれているのみの状態で部屋の全容は一瞬で見渡すことは難しいだろう)
(左側の壁には屏風が立てられており、そこには何匹かの蛇や狼などの魑魅魍魎に襲われる少女たちの様子が描かれていた)
(鈴の音は壺のある部屋の中心から聞こえてくることが部屋に入るとわかるが、あまり至近距離でこの鈴の音を聞き続けていると由依の体に変調が訪れる)
(体が火照り始め、劣情が湧き始めてくるのだ)
(この感覚は壺から離れれば徐々に薄まっていくが、近づいて長い時間その音を聞きづけるほどに効果は高まっていく)
(壺を調べようと触れようとしたり中を覗き込もうとすると壺が倒れて割れてしまい中から黒く不定形の何かが周囲へ逃げていくのがわかる)

(また、この部屋にいると後ろに何かがいるような気配を感じる)
(姿形は暗闇のせいなのか見えないが、由依の背後からこちらを伺うような何かの気配がするのだ)
(そして探索をしばらくしていると、ちゃんと着ているはずなのに勝手に袴の帯が解けて脱げてしまったり、上衣がずり落ちてしまったりするだろう)

(ここから他の部屋へ続くのは屏風と反対側にある障子と入ってきた場所の向かい側にある襖がある)
(障子の向こうは夜中のように暗く映り襖の方はたまに何かが四足歩行をする音が聞こえる)