うー…靴もズブズブでうるさいし乾かしたいなぁ…
(大量の水を吸ったスニーカーと靴下は歩く度に水を吸って吐いてを繰り返し)
(歩く音に不快で大きな音を加えていた)
(外の湿気もあって肌についた水気もあまり飛んでいかず乾きはとても遅くなりそう)
(会議室みたいな大きな部屋があればそこでワンピースを脱いで乾かすなんて事も…と探していた)
ひゃいっ!?何々…う…ん…?
(何か大きな音が聞こえてそちらを振り向く)
(暗がりであまり良く見えないが誰かが立っていて椅子を蹴り飛ばした様子)
(廃工場に人…?と怪訝そうに目を凝らす)
(ガッチリとした身体で工場のものらしき作業着を身に纏っている)
あ、あの…えっと…?
(微動だにしないでコチラを見ているように見える)
(目深く被った帽子からは顔色を伺えないが…作業着から覗く肌がとても血色が悪い)
(真っ白を通り越して血の気がないようにも見える)
(進んじゃまずい所だったのかな…と踏みとどまる)
……何の音?
(工場の屋根に当たる雨音に紛れて何かが聞こえる)
(ちょうど歩いてきた道から何かを擦っているような)
…え?な、なに…ホラー系のビックリ…とかじゃないよね…?
(振り向けばズルズルと素足を引きずって歩いてくるちょっと細身の就労者が見える)
(しかし薄っすらと差した外の明かりに照らされた表情、肌に驚愕する)
(目は濁りきり何処を向いているか定かではなく、肌は白いを通り越して青みがかっていて生気を感じない)
(口はあんぐりと開けられていてそこも血の気を一切感じない)
(ホラー映画から飛び出てきたようなゾンビがそこには居てコチラへと迫ってきていた)
悪い夢なら醒めてよ…!
こんな所居たらヤバイって…!
(背後から迫っていたゾンビに恐れて一歩一歩と後ずさる)
(そして動きが鈍重であることを祈って脇を走り抜けようとする)
(その先の入ってきた扉から外へ出れるとして…)