>>268
(学校で同級生が噂として話しているのを聞いてやって来た郊外の不思議な館)
(噂の内容としてはあまり良くないもので、会話のトーンも抑え気味のように感じました)
(一人で行ってはいけない。常識的な直感はそう告げていたのに、興味を抱いた私はその判断を裏切ります)
(話していた同級生は親しいお友達でしたから会話に混ざることも可能でしたが、あえて混ざらずに)
(学校が終わって塾に行った帰り、一人でひっそりと訪れてみたのです)

噂の通り、不気味な雰囲気が立ち込めていますね
……ふふっ♪ 足を運んでみた甲斐がありました
(思わず禍々しいと言いたくなるくらい、不気味で怪しげな館の外観です)
(普通の人、例えば噂を話していた彼女ならばきっとすぐに引き返したと思います)
(それでも私の足は止まらずに、楽しげに微笑んでしまいました)
(気分としては小学生くらいの子がするような冒険。私にはそういう遊びの経験が無いので想像ですが)
(心が浮き立つ度合いは同じくらいだと思います)
(そして、未知の世界に踏み入れる足に籠めた力の強さも、きっと同じなのでしょう)

こちらが、玄関…なのでしょうか
重そうな扉ですが……んんっ……あっ、開くみたいですね
(敷地にお邪魔して館にゆっくりと近づくと見えてくる正面玄関らしき二枚の扉)
(長い年月の中で風化していてもその豪奢な装飾の名残は見て取れて、厳かな雰囲気に気圧されそうになります)
(それでも手を伸ばして触れてみると、どうやら開きそうな気配)
(多少は力を入れることになりましたが、無事に館の中へ続く道を確保できました)

お邪魔します…と言っても、誰もいませんよね
しばらく誰も入っていないみたいですが…
(一応礼儀として挨拶を口にしてみますが、すぐにその無意味さを自覚して照れ笑いに変わります)
(中は荒れた上に埃が積もっていて、住人はおろか侵入者も入っていない様子)
(階段らしき物は崩れていて、先に進めそうなのは左右の扉だけ…)
……っ、?
扉が…ひとりでに……?
(ここで引き返すという選択肢は考えていませんから、左右どちらに進もうか、考え始めた時でした)
(背後で音が聞こえたのに気づいた私は咄嗟に振り返りました)
(すると視界に入ったのは扉が閉ざされた光景)
(扉はしっかりと開きましたし、自然に元の位置に戻るような造りではありませんでした)
(まるで誰かが出入り口を閉ざしてしまったよう。私をこの館に閉じ込める為に)
歓迎…と受け取っても良いのでしょうか
ふふふっ♪ 本当に、ここには「いそう」な気がしてきました
(扉が開くかどうか一応確認してみましたが、ぴったりと閉じて微動だにしません)
(まるで最初から扉を模した壁であったかの様です)
(帰る道が閉ざされたのに私は全く怯えたり恐怖に襲われたりしませんでした)
(最初から「そういう」館だと知っていて、だからこそ足を運んだのですから)

(扉を確認した後は、左右の扉を調べてみます)
(まずは右の扉に近付いて、扉の取っ手や素材を確認してから耳を押し当てて音を確かめます)
(無事に調査が終われば左の扉を同じように調査してみます)

【館さん、はじめまして♪】
【素敵な書き出しありがとうございます。こちらこそよろしくお願いします♪】