>>27
(マリアの履いているジーンズの股間部分が、うぞうぞ、もこもこと膨らみ、脈動している)
(まるで、その内側に男性器でもあるかのようだ)
(実際には、布地がそこまで盛り上がってしまうほどの数のムカデが、その位置に群がっているのだが)
(マリアには、そのおぞましい蟲たちを排除することはできそうにない)
(ズボンを脱いで、蟲たちを取り除くことを恥ずかしく思ってしまった彼女には、もうムカデたちの行動を止められない……)

(何かイイ匂いでもしているのだろうか、ムカデたちはこぞって、マリアの女性器に群がっていた)
(何匹かが、クリトリスにその長いカラダを絡みつかせる。無数の脚によって、女の敏感な部分がカサカサとくすぐられる)
(それ以外の十数匹は、大陰唇のワレメに顔を押し込もうとしていた)
(まるで胎内回帰のように、女性器の中に入り込もうと試みている)
(もちろん、湿り気がなければ、女性器は侵入者を受け入れないものだ。ワレメはぴっちりと閉じて、ムカデたちを拒んでいる)
(……逆を言えば、湿り気さえあれば、何だってその中に入っていける……ということだ)
(ムカデたちは、ギチギチと鳴きながらカラダをくねらせた。すると、徐々にその乾いた体表に、汗のような液体が分泌されていく)
(どうやら、このムカデたちは、普通のムカデにはない特殊な生態を持っているらしい)
(汗というには、ヌルヌル、ネバネバとした……ナメクジのような粘液を全身にまとい、ムカデたちは再び、ワレメに身を投じていく)
(今の彼らは、ローションをたっぷりとまとった指のようなものだ。大陰唇の間で、ヌチュヌチュ、クチュクチュと水っぽい音を立て)
(ワレメの中に……マリアの膣の中に……一匹、また一匹と、滑り込んでいく)
(この、ちゅるん、ちゅるん♪ と、蟲がカラダの中に潜り込んでくる事態に、マリアが対処しようとすれば、まだ間に合う)
(すぐにズボンとショーツを脱いで、性器に群がっているムカデたちの尻尾をつまんで、引っ張り出せばいいのだ)
(しかし……先ほどと同じで、ズボンを脱ぐことを恥ずかしいと思ってしまったり……)
(心の底で、「もう、別にいいや」とか、「ホントは、ムカデに這い回られる感触、嫌いじゃないの」とか思ってしまったら……)
(完全に手の届かない場所、自分のカラダの深いところを、彼らに許してしまうことになるだろう)

(下半身だけでなく、上半身もまた、危機に近付いていた)
(姉のブレスレットを発見できたことは、マリアにとって大きな収穫だっただろう)
(しかし、その存在する場所が悪かったということに、彼女は気付いていない)
(腐った床の、穴の中……そこに落ちているブレスレットを拾おうと、手を伸ばしたその時……カサ、カサカサカサッ、と)
(ブレスレットの周りから、たくさんのムカデたちが現れ、マリアの指先をとっかかりにして、腕へと這い上がってくるではないか)
(手首から先は、ほんの一瞬で蟲まみれになってしまう。ムカデでできた手袋を嵌めたような状態だ)
(もちろん、手首だけに留まらず、ひじ、二の腕……と、胴体に向かって、何十匹ものムカデたちが移動してくる)
(トレンチコートのそでから、ネルシャツのそでから、最後に半袖シャツのそでから、内側に内側に潜り込んでくる)
(腋の下を、子供指がくすぐるような感触を残して、ムカデの群れが通過していく)
(それはまるで、電撃的な侵攻だった。すでに、マリアの下半身はムカデまみれになっていたが、さらに上半身まで侵略されつつあった)
(シャツの内側……胸やお腹、背中を、無数のムカデたちが這い回る。そのくすぐったさは、脚や股間の比ではないだろう)