>>317
少女はいまだ、衣服全てを脱ぎ捨てる事に抵抗を感じていた。
全てを脱がずにどうにかできないかと模索していたところ、何かを思いつく。
身に着けているものを一つ一つ脱いでは納め、ドアが開かないか確認するというものだった。
そうしてまずはスニーカーを納めるが、当然ドアが開くはずはない。
次に脱いだのは黒の靴下だった。
素足を見せる少女の願いも虚しく、やはりドアが開く気配はない。
それどころか、どんどんと部屋の老化は進み、体面する壁にはひびが入ってきていた。
部屋を形作っていた土壁が一部崩れ、天井がきしんで埃が落ちてくる。
残された時間はもう少ない。
ベルトに手をかけた少女はそれを引き抜き納めるが、やはりドアは開く事はなかった。
少女が悩む間にも時間は刻々と過ぎていく。