……はっ!?
(意識が覚醒して瞼を開くと目に飛び込んできたのは木製の天井でした)
(その色も模様も見たことがありません。理解が及ばず混乱してしまいそうでした)
……服、が…
(体を起こそうとして、今寝ているのが簡易ベッドなのに気付きます)
(さらに混乱しそうでしたがそれ以上に驚いたのは、服を一切身に纏っていない自分の裸を見た時です)
(目で見る物全てが信じられない気持ちで記憶を探ろうとすると、もっと信じられない気持ちになります)
(何故か共学になった学校の一室。授業を受けながら見えない舌に下半身を責められたこと)
(最終的に他のクラスメイトに見られながら気持ちよくなって、喘いでしまったこと…)
(思い出すだけで顔が熱くなってしまいます)
(それだけではありません。舌に全身を舐められながら暗闇の中を引きずられた事も思い出しました)
(何度も絶頂に達して、逃げ出そうとした途中で力尽きてしまった事も…)
学校での出来事は…夢、ですよね
その割には……
(記憶の順序、そして気を失った事を考えれば授業中の経験は夢だとわかります)
(ですが、簡易ベッドの上で上半身を起こしながら改めて見た私の体は、まるで夢の出来事を引きずっているかのよう)
(そもそも誰が私をこの部屋に運んだのか。服はどうしたのか)
(…疑問は尽きません)
……紙? 何が書かれて……ひっ
(蒸し暑い部屋の中で、疑問に埋め尽くされた頭を動かすとテーブルの上に紙を見つけました)
(本当はその前に鏡も見ましたが、発情しているような私の身体を見るのは恥ずかしくて、すぐ目を背けています)
(とにかく私の関心は紙に向かい腰を上げて…手に取ってベッドの縁に腰掛けてすぐ、小さな悲鳴を上げました)
(赤い血のような物で書かれた文字は、内容の奇妙さもあって不気味に感じます)
(まるで書いたことが本当に起こってしまう呪いのように、身体を縛ろうとします)
(ですが、永遠に嬲られると予告されて、逃げられないと断言されて、すぐに受け入れることはできません)
(ベッドから立ち上がった私は部屋にただ一つ取り付けられている扉に向かって歩きました)
(そして開こうとしてドアノブを握ります)
(…その時、ふとさっき見た夢のことを思い出しました)
(この扉の向こうに何があるかわかりません。そして今の私は何も服を着ていない生まれたままの姿)
(男性がいればどうなるか…未だ忘れることのできない突き刺すような視線が思い起こされます)
(夢の中では着ていた服も無いということは、さっきよりも視線は強くなるのでしょう)
(白い肌から浮き上がるようにして尖った乳首や太ももまで滴が伝う秘部も丸見えなのです)
(館から出られないと書いておいて、館の外に出ることになるかも知れません)
(それも本来の館がある場所ではなく人が多い場所に…)
…それでも、私は……行きます
(ドアノブを掴んでいた手がいつのまにか震えていました)
(想像を膨らませれば膨らませるほど、嫌な予感ばかりが増していきます)
(それを断ち切るために、意を決して扉を開くことにしました)
(永遠に囚われることだけは何としても避けるために…)
【ありがとうございます。こちらこそ、改めてよろしくお願いします】
【経済的には魅力のありそうな呪い…ですが、生き物としては恐ろしいですね】