(何とか腕を振りほどいてトイレを脱する事に成功した優璃だが)
(館の不思議な現象により、元来た道へは戻れず男子トイレへと導かれる)
(扉を開けた優璃が見るのは、時折り点滅する蛍光管に照らされた薄暗い光景)
(入り口近くの洗面台は鏡がヒビ割れ、壁に沿って並ぶ小便器には蜘蛛の巣が張っている)
(廃墟に相応しいトイレには窓やロッカーの類も無く、行き止まりの様にも見えたが)
(小便器の反対側に並ぶ個室の扉が、人の気配が無い館内にも関わらず、何故か閉まっていた)
(近付いて確認すると、扉は僅かに隙間を空けており、鍵は掛かっていない様子)
(隙間から中を見ようとしても暗い影に阻まれてよく見えない)
(個室の扉は全部で3つ)
(一番左は洋式、真ん中と右には和式を表すマークが付けられていた)
(そしてマークを更に観察すると、右のマークには細長い紐のような印)
(真ん中は何かの昆虫を表すかのような印、左は手のような印が描かれている)
(印と言っても古い物なのか擦れていて、気付き読み取れるかどうかは優璃の観察眼次第だ)
(ジーンズの視線は優璃の秘部が濡れて来たことを目敏く察してか)
(下着の臭いを嗅ごうとするように蠢き、視線を強くしていた)