>>43
(コンコンとノックをしても、二回分の乾いた音が室内に響くだけ)
(左端の扉を開けた優璃の目に映るのは、古びたトイレの割には綺麗な洋式便器だ)
(真新しい物にも見えるが、デザインはやや古く、清掃の賜物であるらしい)
(しかし勿論、そんな普通なだけの物がこの館にある筈も無く…)

(優璃が個室の中を確認していると、背中をドンと誰かの手に押される事になる)
(実際に後ろに人などおらず、手の感触だけが優璃を個室の中へと押し込み)
(身体が個室に完全に収まるとすぐに)
(ギィ…………バタンッ!!!!)
(優璃の真後ろで扉が勢いよく音を立てて閉まった)

(個室の中に閉じ込められた優璃は、次に両肩に二つの手の感触を感じる)
(目を向ければそこには、手首より先の部分だけが白く浮かび上がる不思議な手が見え)
(この手が優璃の体の向きを扉側に向けさせ、そのまま力を込めて洋式便器に座らせようとする)
(手の力は強く、優璃が大人しく座るまでは離れようとしない)

(扉側に向けさせられたことで、優璃の目にはそこに貼り付けられた紙が見える)
(毛筆で書かれたらしい古い文字が紙には並んでいて)

『絶頂一回につき開閉一回』

(と書かれていた)

(優璃を座らせることに成功すれば、手は肩から離れて解放する)
(暫く宙を彷徨った後、今度は優璃の脚を左右に開かせようとしてきて)
(人指し指で張り紙と優璃の股とを交互に差し、張り紙に従うことを促してくる)
(便器から立ち上がろうとすれば、再び肩を押さえてくるだろう)