(咄嗟ぬ扉を開け、その中に逃げるルミ)
(扉の先は小さな小部屋になっている)
(部屋の中央には粗末な木のテーブルがあり、そこには小さなランタンが置かれている)
(そのテーブルの向こう側には簡易的なシンク(流し台)がある)
(そしてこの部屋に入ると、全身を襲っていた愛撫は止まり、やっとルミは解放される)
(しかしその影響はルミの体にしっかり出ていて、服は激しい手の動きによる皺が目立ち乱れている)
(だが室内は廊下以上に蒸し暑い)
(どうやらテーブルのランタンが、明かりだけでなく熱まで放出し、室温を上げているようだ)
(そのランタンは火でもって明かりを灯すものではなく、中に発光する石が入っている)
(それの放つ光で周囲を照らしているようだ)
(それゆえ、朽ちたこの屋敷でもいまだ光を放っているのだろう)
(しかしこの石は光だけでなく熱も放出するようだ)
(ランタンに触れても熱いとまではいかないが結構な温度のようだ)
(しかも周囲にその熱気を減衰することなく伝えるようで、ランプ周辺も本体と同じくらいの熱気を感じる)
(ランタンは持ち運び可能だが、これを明かりにするには、ルミはつねにランタンの熱気を感じることになるだろう)
(そして入り口の正面にあるシンクはしっかりと水が出るようだ)
(廊下以上に室内は暑いこともあり水分を補給したほうが良いかも知れない)
(ただし、こんな環境ゆえか、水はさすがに冷たくなく、生暖かい)
(そしてこの水は純粋な水ではなく、中に媚薬の成分が入っている)
(飲んだ場合、少し経つとルミは飲んだ量に応じた疼きを感じ出すだろう)
(体温もあがり、さらに汗も流れてくる)
(またこの水を体にかけて濡らした場合、水がかかった場所がかかった量に応じて敏感になってしまう)
(なお、室内には入ってきた扉以外出口はない)
(再びあの暗闇の廊下を進むしかないようだ)