(白い紙に箇条書きで色々書き終えて視線を上げる)
(目の前に立っているのは大きな洋館)
(学校では幽霊屋敷としてよく噂に上がっている建物だ)
(中に入ったら出られない、色んな化け物にエッチなことされる、幽霊に悪戯される、とか)
(そんな噂話でみんなが盛り上がるたびに私はバカにしてきた)
(そんなオカルトあるわけないじゃない!って)
(でもそう言うとみんな揃って、ユイちゃんコワイんだー!とか言ってくる)
(いつもは流すけど、昨日は少しイライラしてて……)
それなら私が確かめてくるわよ! ……って、言っちゃったのよねー
(そして今日、学校が休みの日にわざわざこうしてやって来た)
(実際に来てみると……いかにも幽霊屋敷ですって感じのオーラでケッコー怖い)
でも、言っちゃったからには……やるしかないわよ
(今さら引けないと覚悟を決めて、手元の紙にもう一度目を落とす)
(噂によると(私は信じてないけど)館に入ると女の人は色んな事をされるらしい)
(だからその色んな事を自分から希望すれば、幽霊屋敷が歓迎してくれるんじゃないか)
(って、クラスメイトの娘に教わってこの紙を用意した)
……あの娘の言うこと聞いてよかったのかな
なんかオトナ向けゲームやってるとか聞くし危ないかも……
(見栄を張った手前、普段仲良しのグループにアドバイスは求められなかった)
(だから普段話さない静かな娘を選んだんだけど……)
あの娘に書いてもらった希望欄もよく読めないのよね
……なんて読むのかしら、この『姦』って字
あ……っ……
(衣装変更は私が書いたからわかる)
(でも他の3つはどういう意味か……考えようとしたところで強い風が吹いた)
(手から紙が飛んで行って館の方へと舞い上がり、そのままどこかへと消えていく)
受け取った……ってこと……?
(眉をひそめながら呟いて、それから私はゆっくり歩き出した)
(幽霊屋敷の玄関へ近付きそのまま中へ入るために)
【こんな感じで待機するわね】