>>42
「ぅっ……!!うあぁ!!」
(千夏が振ったナイフはしっかりと彼女の左腕へ食らいついた)
(普通の人間ならその時点で怯み、千夏の追打ちを受けてしまうだろう)
(しかし目の前の少女の左腕は、千夏が盗み出した腕らしき物と同じだ。故に痛みもなければ血も出ない)
(少女の膝蹴りが防御態勢を取ろうとしていた千夏の腹にめり込む)
(間髪入れずに少女は自らの能力を駆使して、もう一度千夏の腹へ衝撃を加えた)

「あ"ぁう……痛い……くそっ……」
(千夏はナイフを勢いで手から離してしまい、後方へ大きく吹き飛び、地面へ転がる)
(柔らかい腹に二度の衝撃。まさに耐え難い苦痛に千夏は悶絶している)

「もういい、口封じだけじゃ気が済まない……」
(苦しみで今にも口から吐き出そうな胃液を我慢して、ふらふらと立ち上がる)
(そして、ナイフを取り出したブレザーの内ポケットの逆の内ポケットから今度はスタンガンを取り出した)
(バチバチ!と2秒も当てれば気を失うほどの電撃をスタンガンは放っている)

「ほら、早く来なよ。返して欲しいんでしょ?大切な物なんでしょ?」
(左手をクイクイと動かして、少女を挑発する)
(右手に凶悪なスタンガンを持つ千夏の瞳は赤に変化していて、少女の行動の予備動作を見切ろうとしている)