(百合花がミズチの腕に触れると、まるで死者のように冷たかった)
(ミズチの口からもれる吐息が白いので、少なくとも生きていて息をしているのは分かる)
暗いのは、いまが午前3時だから。
たぶん、そう。私のスマホはどっかにいっちゃったけど、先生のは午前3時になってない?
(コートもなければ鞄もない。だから鞄の中にいれていたスマホもない)
(百合花の様子から、ミズチのように来ている服が変わってはいないようだからスマホを持っている可能性が高いだろう)
私、占い研究会のいる社会科教室に入ったはずなの。
先生はどこに入ったのは、このきょ…教し、つ…くちゅんっ!
(またくしゃみが出て、ふわっとミズチの長い髪が揺れる)
(月明かりに照らされて、白に近い金髪がきらきらと輝く)
(顔立ちは日本人だが、よくみれば眠たげな瞳は鳶色で、少々日本人ばなれをしていた)
うぅぅ、さ、さむい……ええと、入ったのは、この教室?