>>717
(ぐちゃ、ぐちゃ、ぐちゃり )
(嫌な音を立てて蛞蝓がつぶれる。気の弱い女性なら悲鳴をあげてしまいそうな音と感触)
(手応えとしてはたいしたことはない。剣ではなくコンクリートの破片で簡単に潰れてしまうのだから)
(しかし――)

(ぼっ。ライターの火をつけたような、そんな小さな音が総司のお腹の辺りから聞こえる)
(潰れた蛞蝓が青白い炎をだしながら燃えている)
(お腹と腰の辺り、総司が身体で受け止めてコンクリートの破片で潰した2体)
(それだけではなく、最初に倒した蛞蝓の欠片と、次に突きで倒した蛞蝓の体液)
(髪の毛や頬に付着したそれらも同じように燃え出す)

(この炎は普通の火ではなく、呪術で作られた着火剤のようなもの)
(炎で肌を焼きながら強力な溶解剤として強酸を浴びたかのように衣類や肌、そして肉を犯していく)
(致命傷ではない。鍛え上げられた身体と大剣の加護が、一般人であれば容易に行動不能に陥らせる攻撃に耐えさせている)
(だが確実にダメージは受けてしまっている。肌や肉を焼き溶かされる痛みとダメージは総司の行動に何かしらの影響を与えるだろう)

(これらも術者が式神に仕込んだ攻撃パターンである)
(小さな蛞蝓たちは相打ちで倒され、溶解する炎で攻撃したのではない。それは囮だった)
(本当の狙いは獲物の足下に別な粘液を滴らせること。すべる粘液と張り付かせる粘液)
(一歩でも足を動かせば、どちらかの粘液を踏みつけて転んだり足をすべらせたりしてしまう)
(そうなるよう追い込むために、総司の左右の上から大中2体のボス蛞蝓が襲いかかる)


ん〜〜
(ビルの外では、目をつぶったミズチが舌を出していた)
(ふざけているのではなく、舌先で色々なことを検知する蛇の真似をしているのだ)
(ミズチの位置からは実際にビルの中を見ることはできない)
(なので中の様子を知るために霊感を強く働かせる儀式の一種、集中するためのもの)
(我流の技だが、常に蛇神と共にあるミズチにとってはとても有効な技術なのだ)
(欠点としては、第三者に見られると変な子に見られてしまうこと)

【超音波みたいな耳には聞こえない声とか?】