>>720
(両手両足に絡みついてくる二つの大蛞蝓)
(それそれの傷口から噴出した溶解液は小蛞蝓のそれと比べてかなりの濃度だ)

ぐぎっ、ぐぎぎ……ぐぎぁ!

(だが、皮膚の再生が追いつかず火傷が徐々に手足から広がってくるこの絶望的な状況で、渡辺は笑う)
(それは渡辺が使ったただ一つの策が成功したことへの喜びの笑顔であった)

そんなに粘液出しまくってるけどよお……お前らの身体はどうなってるかよく見とけや……
蛞蝓でも分かるだろ……?自分がだんだん細切れに裂かれてく感触が!

(見れば二体の蛞蝓に与えた傷口が意志を持ったかのように広がり続け、一つ一つの傷口が
まるで樹木が枝を広げるように大きな傷口へと変貌していく)
(渡辺は広がる傷に悶える蛞蝓から大剣を引き抜き、手足に纏わりつこうとする蛞蝓を剥がす)

(そして三体の蛞蝓たちが体液をまき散らしながらのたうちまわる中、ゆっくりと大剣を上段に構えた)
(わずかに聞こえてきた三輪の声援に思わず顔がほころび、そのまま勢いよく振り下ろし、大剣でトドメを刺していく)

てめえらみたいな化物はこの世に必要ねえ。
とっとといるべき場所に……帰りやがれッ!

(パーカーは穴だらけ、露出した皮膚の部分はひどく焼けただれ、特に手足は惨憺たる有様だ)
(しかしそれでも、渡辺は討伐をやり遂げたと確信していた)

【傷が酷くて再生が追いついていないので、治療を受けさせていただくことになりそうです】
【貸しというか治療費を果たして払えるのかが心配ですが……】

【あ、こっちのターンでトドメ刺して大丈夫でしょうか?もしダメなら実は生き延びていたとか
 一匹隠れていたとかでもOKです】