>>729
(総司が目を覚ます。まだ立ち上がれないのを見て、見立てどおりの重傷であることが確認できた)
(このまま病院へ通えば数ヶ月したら見た目の日常生活に差し障りがでないくらいは回復するだろう)
(でも退魔業みたいなことはできないだろうし、何かしらの霊的な後遺症が残ることも考えられる)
(うん、仕方ないよね。先に気絶しちゃうんだもん)

命の恩人じゃないよ。よほど運が悪くなければ死ぬまではいかなかったと思うし。
でも、私に助けられたことは後悔しちゃうかも、ね。
まだ治療中だし、これからが本当の治療。
もうここへ連れてきたからには治療が済むまで嫌だって言っても逃がさないし、手間をかけただけの対価は払って貰うから。

(こほん、とわざとらしく咳払いをし、大きく息を吸って、ゆっくりと吐き出して)

あなたには、私の下僕になって貰うわ。

(ドヤ顔で言い切り、数秒後、「あ……」と間抜けな声を出す)

間違えた。あなたには乙姫ちゃんこと私の事務所でアルバイトとして働いて貰うわ。
フルタイムじゃなくて必要なときだけ、差し支えがなければ今までのようにそちらのエージェントさんの仕事をしてても構わない。
でも龍宮講の関係者になることからは逃れられない。

(真の龍宮講のことはまだ話さない。でもわかる者から見れば当人が知らなくてもミズチに接触した関係者だと思われる危険はある)
(依頼者の代理人という立場ではなく、ミズチと蛇神の治療と加護を受ければ、言い逃れはできない)

嫌だっていっても拒否権はないけど、いいわよね?
それと……女子中学生を前にして隠そうともしないなんて、慣れているというより、そうゆう趣味なの?
(じっと総司の顔を見ていたミズチの視線が下の方へ移ると、青白い顔がほのかに赤らむ)
(下着も脱がしたから股間を隠すものは何もない)
(「あぐらなのはこんな時でも見せつけようとする露出狂の性癖なのかしら?」なんて思って、ある意味感心するミズチだった)

【迫害されたのではなく、運が悪くて落ちぶれていった感じだから】