>>107-111
「そ、それは……海魔の幼生!?」
目の前で膣から液に塗れた海魔を産み落とすサヤを見ての依頼主の第一声である。
裸同然のサヤに目を奪われ驚いていたため気付いていなかったが、辺りに蠢く幼生にも気付いた。
「こ、こうやって産まれていたのか……なるほど。
いえ、実は海魔の幼生は好事家の間では観賞用として人気なんですよ。
独特な見た目な上に透明な体というのがマニア心を擽るらしくて……色が付いてくると需要が変わりますがね」
すっかりと関心を海魔の幼生に奪われたらしき依頼主は川辺に視線を落として観察している。
サヤの姿を見てはいけないと感じて視線を逸らしているわけでなく、単純に興味の差だ。
ただ別に気遣いの心が無いわけでなく、着物を直すのを待ってから再度視線を向ける。
「よろしければ、ですが…この幼生を私どもに譲っていただけますか?
勿論、報酬は増やします。そうですね、金銭を2倍、いえ3倍でどうでしょうか。
その……お母様がご自身で育てたいようでしたら、当然引き下がりますが」
海魔と何があったのか見ておらず、幼生を産む瞬間しか見ていないのだからこういう認識になる。
海魔を切り倒しているから愛の結晶では無いとわかるが、母には違いないと。
とにかくそんな交渉を持ちかけて、成立すれば後は温泉街の人間が幼生を回収しにやって来る。

とにかくこれでサヤは報酬の約束通りに温泉を自由に満喫する権利を得た。
海魔を倒したというニュースは当然温泉街に知れ渡っており、誰が倒したのかも皆知っている。
料理や部屋など、ただ無料になるだけでなく極上の物が振舞われることになる。
更に追加のサービスとして、温泉街でも屈指の美青年が専属ガイドとして付くことにもなる。
金髪で爽やかな笑顔が特徴の美青年は、ミナトマで助けてくれた逞しい男とはまた違う細身のタイプ。
ガイドとして優秀なだけでなく、マッサージや入浴のサポートまで、断らなければ付き添ってサポートする。
出産の瞬間を目にした依頼主がサヤの精神的ダメージをケアする為に手配したようである。

【熱の入った内容で読んでてとても楽しかったよ】
【これを3匹分は流石にキツイだろうね】
【そして超展開パスを受け取った依頼主はこんな返しをする】
【美青年と一緒に温泉でゆっくり休んで疲れを癒してくださいな】
【惚れっぽい子がこの状況でどう反応するか見たいとかそういうわけでは無いから】

【海藻とかでもこのファンタジー世界では厄介な動き方をしそうだ】
【甘いもの、ケーキとかか。なるほど、次のクエストの参考にしてみる】
【タコ焼きねぇ…。ちなみに海魔の幼生は4年経つとピンク色に色付くらしい】
【ピンク色の時期は丁度タコより少し大きいくらいで味も似てるらしい】
【大陸では島国のタコ焼きによく似た、ただし少し味わいが違うタコ焼きもどきがあるらしい】