>>159-160
(出発の際、民宿の従業員たちは笑顔でお客さんを見送っていく)
(和やかな笑顔を浮かべる中に、一部だが含みのあるものも見られる)
(まるで昨日ナニがあったかを知っているかのような…そんな裏を勘ぐってしまうような表情だ)

(さておき。地図によれば、この山間を越えていくと高原が広がっているとのこと。)
(この季節には気持ちの良いさわやかな風が吹き、連休などではバイクでツーリングにいそしむ姿もよく)
(…この高原、そうした表向きの人気の裏に、変わった噂がある)
(曰く、高原に向かう山道が日中なのに暗くなり、そうなると無数の手に襲われ、身ぐるみをはがされる…という恐ろしいものである)
(古き時代、この高原を渡ろうとした人たちがそういう目に会い、裸で放り出されたことで途方に暮れていたところ、)
(近くに祠が現れ、そこにお祈りをすれば、奪われた物は返って来た上に、その後の旅は幸運に恵まれた…などという逸話がある)
(今でもごくまれにそんな話をするものがいるが、近くに祠などはなく、笑い話として終わってしまうことがほとんどである…)