>>33
(優しく答えてくれた兄の動きが少し止まったような気がした)
(いきなり大胆なお願いだったかな…と後悔しかけるけどそれも一瞬で)
う、うん…
兄さんに……任せるね
(目を閉じるように言われて、ゆっくりと瞼を下ろす)
(視界が暗くなるけど、瞼の裏側にはまだ兄の顔が残像として残っていた)
(目の前にいる気配もしっかりと感じ取れる)
(兄の息遣いをさっきよりも感じて、胸が痛いくらい心臓が脈打つ)
(肩の力を抜いていくと少しずつそれも和らいで、兄に身体を委ねようとする)
(繋いでいた手が離れて、兄の手が頬に触れてくれば、その瞬間が近づいてきたと実感)
(身構えてしまいそうになるけど、出来るだけ力は抜いて、兄に任せて……)
……っ
(唇が触れ合った)
(視界を閉ざしている分、兄の唇をより意識する)
(優しいキス…私の初めてのキス…兄に捧げられたことが嬉しかった)
(でもそれだけじゃ終わらないのは、お願いした私自身がよくわかっていた)
ぁ……っ、ん……
(兄の舌が唇を開いてくる)
(割って入ろうとする舌を素直に迎え入れた)
(口の中に自分じゃない存在が入り込む)
(ドキドキしっ放しで思考がまともに出来ないくらい)
(それでも、兄の舌が私の舌に触れて、絡みついてくるのはわかる)
(ダンスに誘うような優しい招きに応じて、舌を私からも絡めていく)
(口の中を犯されるという感覚は無くて、どちらかと言うと兄が満たしてくれている気分)
(兄が抱きしめる力を強くして来て、身体の密着も増していた)
(幸福な気持ちに包み込まれていくのを感じる)
っ、ぁ……
(ゆっくりと舌が抜かれて、唇が離れていく)
(急に静かになった気がする)
(さっきまでキスの音が聞こえてた、ということを今更理解した)
(そんな、音が立つようなキスをしてたんだ……)
……うん
(兄に問いかけられると目を開けて首をこくっと縦に振る)
(改めて兄の顔を見て、それから唇を見て……顔を真っ赤にしながら熱っぽい視線を送る)
(風邪を引いているかのように頭がぼうっとする)
(ただ兄とキスをしたという事実と、今味わった幸せな気持ちだけが、頭の中を駆け巡っていた)
(口の中に少し残っていた唾液を飲み込む)

……ありがとう、兄さん
今日はもう、大丈夫だから
……また、勉強に付き合って……ね?
(少しずつ冷静さが戻ってくるとお礼を言わないとと思い出す)
(同時に今日これ以上兄といると、私自身がどうなるかわからなくて休みたかった)
(丁度、家でできることは全部終わったところだし、切り上げることを提案して)
(それと……「また」というお願いも付け加えた)