>>53
昔……そうだっけ
…うん、そうだった、かも
(一緒に入ってたこともほとんど覚えてないくらいだから、すぐに記憶は出てこない)
(でもお兄ちゃんが懐かしんでるのを見ると私まで懐かしくなって、記憶というより想像が頭の中に浮かんだ)
(小さい私が髪とか体をお兄ちゃんに洗ってもらう光景…きっと、優しく丁寧に洗ってくれたんだと思う)
うん……って、ふざけないでよー
(お嬢様なんて言われてくすっと笑っちゃう)
(でもお陰で少しリラックスできた)
(勧められるままイスに座って、お兄ちゃんの手がシャンプーを取るのを見る)
かゆいとこは無いよ
全体を満遍なく洗って欲しいな
(シャンプーを泡だてたお兄ちゃんの手が髪の毛に触れる)
(普段は結ってツインテールにしてるけどお風呂の時はもちろん解いてて)
(それなりの長さだから自分で洗う時は隅々まで洗うのが少し大変)
(でもお兄ちゃんに任せていたら洗い残しも無いだろうなって安心できてゆっくりと待った)
(髪を洗う指が頭にもぶつかるけどそれが心地よくて、しばらく続いてて欲しいくらい)
(小さい頃は結構ワガママだった私だけど、お兄ちゃんに洗ってもらってる時はきっと大人しかったのかな…)
(目を閉じてたから子どもの頃を思い浮かべやすくて色々考えていく)
うん……っ
(そうしてる内に洗い終わったみたいで、髪についてた泡がお湯で流された)
(さっぱりした気分になる)

身体……わかった、任せるね…
(でも体を洗うって言われて少し鼓動が速くなる)
(変に身構えずにお兄ちゃんに任せよう…自分に言い聞かせた)
(髪は洗い終わったからもう目を閉じてる必要はないんだけど、私はまだまぶたを下ろしたまま)
(さっき考えてた昔のことをまた思い浮かべよう…って思ったんだけど)
(右腕にお兄ちゃんの手が触れて、指先から洗い始めると、想像がうまくできなくなる)
(誰かに洗ってもらうってこんな感じなんだ…)
(昔のことはやっぱり思い出せなくて、新鮮な気持ちで体験していく)
(視界に気を取られないせいで、余計にお兄ちゃんの手の形とか洗っていく刺激に敏感になる)
(手で直接洗ってることもあって、綺麗にしてもらうと言うよりなんだか撫でられるみたいだった)
(右腕が終わって、次は左腕を肩まで洗ってもらう)
(次はどこかな……って思ってたら、腰にお兄ちゃんの手が伸びてきてお腹と腰を洗われる)
(どんどんと進んでいくと、次にどこかってのがわかってくる)
(でも私は大人しくお兄ちゃんに全て任せていた)
(手が私の胸に触れてきた…)
だ、大丈夫……
うん……変なことって、そんなの考えないよ
兄妹なんだから
(口を尖らせてわかりやすく、当然のことだよって態度)
(でもそんなことを言いながら、一瞬だけ私の鼓動は激しくなってた)
(お兄ちゃんの手が私の胸を掬うように触ってきた時、胸がバクバクしてるのに気づかれたかも)
(当然のことをしてもらってるだけなのに、あの瞬間緊張がピークに達したみたいだった)
……んっ
(触るだけじゃなくてお兄ちゃんの手が胸を優しく洗っていく)
(胸全体をゆっくりと洗われて、手のひらが先っぽにぶつかってくる…)
(口を閉じたまま小さく漏れ出すような声が出た)
(すぐに私の声だと分からなくて、でも他に誰でもないから、私自身だとわかる)
(どうしてそんな声が出たのかわからない…)
(ただ、これが当然のことだから意識しないようにしてる私の気持ちと違って、体は別の反応をしてるってことに気づいた)
(お兄ちゃんの手のひらがぶつかって、柔らかく捏ねるようにされていた先っぽが、少しずつ痛くなる)
(痛くなるようなことをお兄ちゃんがするわけなくて…柔らかくなくなったのが原因…)