(適当に街中を歩き回り、老人が管理する建物の前へ到着すると立ち止まる)
あぁ、ここだ。ここで大丈夫だ。
(周囲に人気はなく、しんとした雰囲気の町はずれ。ビルや事務所などの建物が多く立ち並んでいた)
それではまた縁があればよろしく頼むよ。
(つまりは葉書に書かれた日時に指定された場所で待っているということだ、老人は美姫に手を振ると眼前の建物へと入っていった)
(指定された日時、夕暮れの日が差す公園で老人はベンチに座り美姫を待っていた)
(黒いスーツに黒いネクタイと喪服を彷彿とさせるその服装は公園には似つかわしくなく、周囲からは浮いて目立っていた)
(美姫を見かけると笑顔で会釈をして手招きをする)
ご機嫌よう、相変わらずといったところかな。
約束通り事を進めたいが、場所が場所だ。ここからまた移動させてもらうよ?
(携帯を取り出し電話で舎弟を車で呼び出す)
(黒い1台の高級車が数分後に現れ、運転手が後部の扉を開けて招き入れる)
(美姫が乗ると車は発進し、目的地へと移動する)
(1時間程度走り続け、一度高速道路を経由して地下へ続くトンネルへと入っていく)
『到着しました、どうぞお降りください』
(運転手が扉を開け、頭を深々と下げる)
(車を降りた先にはコンクリートを打ち付けた、線路のない地下鉄の駅舎のような空間が広がっている)
(無論携帯の電波などは通じず、出口などもどこに存在するかわからない)
この扉の奥だ、ついてきなさい
(少しさび付いた跡が見える扉を開け、杖を突く音を響かせながら中へと入っていく)
(中には新しい畳が敷かれた30畳はある部屋があった)
さて、ようこそ。
(扉から鍵が閉まる音が聞こえ、不意を突いて美姫の首に老人の手がかかる)
(外見からは想像できないほどの力がかかり、徐々に首を圧迫していく)
(殺さない程度に首を絞めつけ暴れるようであれば腹に膝蹴りを入れる)
【承知しました】