(その少年――白野 壮は不登校の生徒なのだという。実際桜も高校入学以来ほとんど姿を見たことがない。)
(だからこそ、桜はこう考えていた。きっと彼をこのままにしておくと更に学校から遠のいてしまうと。)
(彼が学校に復帰したいと思った時、学力の面から再び取り残されないように授業中追加で渡された問題集をひとそろい持っていくことにしよう。)
「ああ、やっぱりまだまだかかりそうだね、うんうん、余裕ありそう。」
(そうつぶやきながら携帯電話の時計と匿名掲示板のスレッドを確認する……大丈夫、お気に入りのネットゲームは今日はメンテナンスの日)
(そしてそれは当分終わりそうにない、帰ったらお気に入りの部屋着に着替えてログインしよう)
(そして新しく実装されるヴァンパイア退治クエストで遊ぶのだ)
(そんなことを考えながら桜は事前に確認しておいた少年の家にたどり着いた)
(そして不思議と生活感のしないその家のチャイムを鳴らす)
「こんにちわ。白野くん、居ますか?同じ高校の……級長の小金井です。」