>>542
「まさか、小金井さんが来てくれるなんて...」

ゴミだらけの廊下を進み、恐らく居間であろう部屋の扉を開ける
「ソファにでも掛けてて...何か、飲むものを持ってくるよ...」

居間は廊下と変わらず、大量のゴミ袋が転がっていた
ソファも埃を被っており、廊下以上の空気の淀みを感じる
カーテンの隙間から差し込むわずかな光が部屋を照らし、埃が光っていた
キッチンであろう場所に壮が消え、1人残された桜は異質な部屋を眺める
テーブルの上に置かれた灰皿、汚れた食器、ファーストフード店の包み紙

「お待たせ...」
コーヒーカップを2つ手にした壮が戻ってくる
一つを桜の前に置くと、そのまま壮は桜の隣に腰かけた

「その、ありがとう...わざわざボクの家まで来てくれて...」
壮はコーヒーをすすり、頬を赤らめながら桜を見る
隣にいるにも関わらず、壮からは全く体温を感じない

「そのね、その...本当は、ボクから行こうと、思ってたんだ...」
もじもじと体を揺らす壮
何かと聞き返そうとした瞬間

『バチッ』
一瞬にして桜の意識は奪われた