【では始めたいと思います】

それはいつもと同じありふれた任務のはずだった

ヴィーナに与えられた使命。それは学校帰りの学生に人気のカフェレストラン……に見せかけ
学生を相手に違法薬物を販売し、街を汚染している組織のボスの暗殺。


だが、事前の打ち合わせに従い、協力者が隠した武器を回収すべく
学校帰りの女子生徒に変装し、レストランの女子トイレの個室に向かったヴィーナを待っていたもの
それは協力者の手首。そして背後から押し付けられたスタンガンの電撃。


――そんな彼女が再び目を覚ましたのは殺風景なコンクリート打ちっぱなしの暗い地下室。
その手足はまるで壁にX字を描くように、4つの枷で拘束されていた。

それでもままならない身体でひととおり彼女が自分の置かれた状況を確認したとき
ぎぃ、っと音を立てて地下室のドアが開いた。