「あらぁー?」
(金森は反射的にナイフを抜き、逃げる遥香をゆっくりと追う)
「逃がしませんよぉ?」
(後ろからは間延びした声が響く)
(いつの間にか遥香が通ってきた道には大量の有刺鉄線が張られており、軽く進もうとするだけでも傷がつくほどだ)
(さらに別の道に行こうとするほど床には錆びた釘がまかれていたり、得体の知れない異臭を放つ肉塊のようなものが転がっていた)
「はーるかっちゃん、どーこでーすかぁー」
(そして何処からか響く金森の声)
(安全な道を選んで進むうちにやがて地下室に続く階段の目の前に立っていた)
「あはー・・・・やっとここまで来ましたねぇ?どうします?地下に行っちゃいます?私と一緒に人生の墓場に行きますぅ?」
(やがて廊下の奥から何処からか持ち出したのか血塗られた釘バットを引きずりながら金森がゆっくりと歩み寄ってくる)