そう言ってメイドはすまなさそうに会釈をする
殺意に当てられたのだろう、メイクをする手がわずかに震えるがそれでも手を止めようとはしない
ただ、メイクを一通り終えるといちどヴィーナに向けて頭を下げてそそくさと部屋から立ち去っていった
そして十五分後、さきほど去っていった方向から現れたのは……
ヴィーナとお揃いのブラウス、それにチェックのミニスカートに身を包んだクレア
ヴィーナほどではないもののやはりメイクを施され、若々しい顔立ちをしている
そして部屋に入ってくるなり彼女の口から発せられたのは
「はろー、ごめんねっ!待たせちゃった?」
そんな耳障りな高い声、日本の秋葉原辺りでならモテるのかもしれないが……
さきほどの落ち着いたどことなく気品すら漂う声とは正反対のものだ
「これだけ変えちゃえば大丈夫かな、うんうん!」
実際、眼鏡と相まってビデオを見たものが彼女の正体を特定するのはかなり難しいかもしれない
「さて、それじゃヴィーナさんの気持ちが変わらないうちに始めちゃうね?
はい、カメラを回してっ!」
そんなクレアの言葉にあわせ、さきほど部屋に入ってきた時一緒だった
男の一人が撮影器具のほうに向かい、ヴィーナにビデオカメラを向ける
「ナイススプリングのBoys and Girls こんばんわ〜!
今日は……『はじめてのスナッフムービー』をお送りしますね!
みなさん、スクゥーム片手にどうぞ御覧ください」
流行りのビデオゲームに出てくる麻薬……それにちなんだ名前を付け
学生たちの抵抗感を差し引くことに成功した商品の名前を唱えながらクレアはにっこりと微笑んだ
「これから、このお姉さんにすごくえっちで恥ずかしい思いをしてもらいます
あんまりにも恥ずかしくて……気持ちよさ過ぎて天国に逝っちゃうかも?
大丈夫、今回は初心者さん向けなので……指を切り落とすとかそんなにグロいことや汚いことはしません
どうぞ安心して最後までたっぷりお楽しみくださいねっ!」
そうしてヴィーナのほうに顔を向けて続ける
「さあ、お姉さんも……自己紹介してくださいな」