「ぐぅ!!!あ"ぅっ…!!」
クギは手枷の穴を通り、そしてヴィーナの手首の皮膚を破り奥へと進んでいく。
ただそれだけでなく、最後の押し込みにクギを金槌で打ち込む。手首の何かが切れるのがヴィーナには感じ取れた。
……この程度の痛み、なんてことない…。そう自己暗示のように何度も何度も反芻する。
「うあ"あ"ぁ!!……はぁっはぁっ…!……ぐああっ!!……ぐぅ……だまれ…だまれっ…!」
息つく暇もなくクギは左手首、そして両脚へと打ち込まれる。
痛みは突き刺さる瞬間がピークであり、女の言う通り尻の感覚に集中すればかき消せそうではある。
しかしその快感に逃げて縋ることはヴィーナはしなかった。
「……ッ!!……このクソ女…!私を……私のボスを侮辱するな!!殺してやる!!!」
小さく告げられたその言葉は、ヴィーナを激怒させるには充分すぎるものだった。
ボスの元へ戻ることも任務を任されることも、頭を撫でてもらうことも、もうできない。
分かってはいたが、この女に言われるのだけは癪だ。
女に向ける涙に濡れた瞳は、今までで最も強い殺意を孕んでいた。