>>58
確かにいい眺めだ。だが残念ながらあまりゆっくり見ている時間はないな。
今日のうちにここは下りきってしまうんだ。ほら、あそこまで。
(点々と木々が見える場所を指さしてみせる)
(本当は景色ではなくアルフを眺めたいところだが、今の状況では不審がられずにそうするのは難しい)
ああ、そうだ。アレの動作を試しておこう。
(握りこぶし大の水晶玉のような透明な球体を取り出し、何やら呪文を唱えると球体がひとりでに浮き始めた)
(別の呪文を何度か唱えると、声に合わせて淡く明滅する)
(そして球体に触れると、内部にさっき指さした場所や街方面の景色、そしてフードを下ろしたアルフの顔の映像が浮かび上がる)
中々高性能だろう?俺の持っている魔道具の中では一番貴重かもな。
よし、動作に問題はなさそうだし、そろそろ行こう。
(結果的に10分ほどの小休止だった。アルフの体力も問題なさそうなので、再び歩を進め始める)

(それからしばらく歩いて、最初の目的地に到着することができた)
(マジックアイテムを自在に操り、ものの数分で立派なテントを設営してしまう男)
(中は広く、三四人いても大丈夫そうな作りだ)
日も傾いてきたし、今日はもう寝てしまうか。
敵性生物に反応する警報機も設置してある。この場所では見張りはいらないだろう。
……ああ、水浴びできる場所は近いが、明日にした方がいいだろう。
何せ初日だ。身体を拭くだけに留めておいてできるだけ早く休んだ方がいい。
(水浴び、体を拭く……この言葉を発する時だけ男の眼付きが少しだけ鋭くなったが、俯いて荷物を整理しながらだったのでアルフには気付けなかっただろう)

【お待たせしました、導入なのでついつい下手に長く……】