バカンッ
乾いた音を立てて固められた革の肩当が引きちぎれる。
(まずい…下手な武器より攻撃が早いな…)

ボグッ
同じ触手が背後の扉にめり込む
「おいっライア!何やってんだ。こっちは動けないんだから、しっかり捌けよ」
無責任に恋人ががなる。
「よかったじゃない。少しは壊れたところから抜け出して、援護してほしいね」
軽口をたたきながら、蕾が開くや否や、その軌道上で打撃系の触手を折れたサーベルで叩き勢いを殺していく。

その間を縫うように打ち出される触手
(こいつは当たっても、鎧で防げるね)
カチッカチッ
硬質なものが当たる音を立てるもはじかれる触手を見て安心する。
剣で、小手で、脛当で、触手を捌く姿は踊り子のようであった。
「言い忘れた…この触手は淫魔種の類で、主食は生気だ…どうなるかは想像はつくだろうがな」

ガリアスの言葉に耳を貸す暇はなかった、自分と恋人を守らなくてはならないのだ。
(おかしい…体が熱い…この程度で息が上がるはずはないのに)
次第に速い鉤触手を捌くのが間に合わなくなる。
チッ…ピチッ
最初は服が裂かれ始めた
次いで鎧のベルトが傷ついた場所にさらに鉤がかかって胸当てが引きはがされる。
肩当、脛当、足鎧
気が付けば、腕鎧を残して鎧は用をなさなくなり、服も半裸に近い状態になっていた。
色白だが健康的な肌にはピンク色の筋が何本か浮き上がっている。
「…っんっ…っぁぁあ…はぁはぁ…ぁん」
(こんな疲れ方…まるで酒に酔っている…違う…これ…なんで、あそこが濡れ始めている!?)

「おいおい、ライア。あんな野郎にストリップショウを見せてやるなよ。ここから助けてくれたら、たっぷりかわいがってやるからよ」
(あの軽口、戦場や迷宮で助けられたと思ったけど…ちょっとは、こっちの身にもなってよ…とにかく…)
「一匹ずつ減らすっ!せいっ」
不用意に距離を近づけていたモンスターに間合いを詰めると、折れた剣の刃の部分を使い、峰に左肘を乗せて両断する。

真っ二つになったモンスターから大量の返り血を浴びながら、立ち上がると、次の獲物を見定め始めた
【こんな感じかな?淫魔種ってことは、返り血も危ないかな?】