>>259
「ふむ、そうだねぇ……」
すぐに頼られて嬉しく思うが、プラットの瞳を見れば微かな不安も垣間見える
それでもやはり期待されているのは分かって、思わずニヤけた笑みをしてしまいそうだった
これ程までに純真な子を早く調教してみたいと欲望を募らせながら
「このダンジョンにはこうした扉がいくつかあってね?
ヒントが無いということは、仕掛けを使わない、代わりに冒険者の側のアクションが必要なんだよ
それが動作の場合は絵が描かれていることもあるんだけど、絵が何も無い場合は言葉だね」
扉を開くために本当は存在しない偽りの条件を口にしてプラットに教えていく
繋いでいた手をそっと離して向かい合う格好になり、犬耳少女の目を見つめながら
「そして、最初の場合は大抵この言葉で開くことが多いんだ
──プラットちゃん、好きだよ」
中年男による幼い少女への気持ち悪いくらい直球の告白
だがその言葉が終わるのと共に扉が音を立てて動き、微かに開いた
「やっぱり合ってたね
でも一人分じゃダメみたいだ
ほら、プラットちゃんもわたしに向かって言ってごらん」
奴隷商の思いのまま開く扉なので、全てはオーバンの意図による演出である
だがオーバンを頼りにしているプラットにはそれが本当に扉を開く手掛かりに思えるだろうか
プラットの口から目の前の中年男に対する『好き』という言葉が聞こえた瞬間、扉は完全に開くことになる
ついでにオーバンのこれまでで一番の満面の笑みも視界に入り込む

扉を突破した後は通路を進みながらポケットに手を突っ込み、リモコン型の魔道具を操作していく
この先の扉にどんな仕掛けを施すかを考えながらボタンを押すだけで対応する便利な物だ
いくつかの角を曲がった通路の先に再び扉が見えてくるがその前にはモンスター
猫と同じくらいのサイズの小さなスライムでいわゆる雑魚モンスターだが、このダンジョンで登場する初めてのモンスターだ
「おっとと、スライムが出てきたね
プラットちゃんは確か剣を扱えるんだったよね
戦闘は任せちゃってもいいかな?」
オーバンの方は武器を携行しておらず、プラットに戦闘を任せることになる
防御力も体力も低く、剣を振れば簡単に切断できるが、一点だけ注意すべき点がある
切断した後は飛び散って辺りに拡散するため、身体や手足に細かなスライムの断片が付着する恐れがある
さらにオーバンが用意したモンスターであるから、ただ付着して不快感を齎すだけでは無い
付着している間、身体が異性との接触に敏感になってしまう作用がある
小さいからと放置していればオーバンに付け入る隙を与えることになるだろう

【お返しするね。少しずつ調教スタートだ】