>>83
こういうラブホテルと言われる場所に入ったのは初めてです
そんな初心者の私でも、最上階にある大きな部屋へすんなり通されたのは特別な意味があると思いました

「はいっ! 大きな部屋で、なんだかワクワクしてきます♪
見たこともない道具が……? 楽しみですね♪」

どんな道具があるんだろう。私の中に好奇心が芽生えます
相良さんはきっとホテルの常連さんなんだろうと察しが付いてきました
部屋のことをよく知ってるみたいですし、大きな部屋に案内されたのもスタッフの方と顔見知りだから
ゾクッと私の中を何かが駆け巡って身体が小さく震えました
男性だったら武者震いと表現するような物だと思います
この人は私みたいな女の子を沢山抱いてきたんだ。今まで男女の関係を知らなかった私にもわかります
それを嫌とか想う気持ちは一切ありません
今私の中にあったのは、安堵と期待という前向きな感情だけでした
相良さんにお願いすることを決めた私の勘は正しかったみたいです
初めてを捧げて男性のことを教えてもらうのに、これ以上ないほど相応しい方と出会えました
でも、次の言葉はちょっと意外に感じてしまいます

「シャワー、ですか?」

期待に満ちた視線を向けたまま、私は首を傾げます
手馴れている相良さんの言葉には従うべきだと思いますし、初心者の私が偉そうなことは言えません
文句を言うつもりはなくて、単純に湧き上がってきた疑問を口にしました

「制服姿のままだとダメなんですか?」

言われたことに対する返事としては少しズレていたかも知れません
でも咄嗟に思い付いたのは、私が自分の意志で着てきた制服が相良さんの機嫌を損ねてしまった可能性
だから遠まわしに、脱いで裸になるように言っているのでは。と考えました
シャワーを浴びて身体が濡れてしまったら服を着るのに手間がかかりますし、時間も長く必要です
ホテルの部屋に男女が入って、準備のために長時間費やすなんて想像できません
私は質問をするだけじゃなくて相良さんに歩み寄りました
身長差があるので見上げる形になります

「私、相良さんに喜んでもらえるかなって思って制服を着てきたんです。
見当違いだったらごめんなさい……。けど、もし……お嫌でなければ
このまま……抱いて欲しいです」