>>518
「……!?何だ、何を言っているの……?」
(少女の瞳が光ってから刀が――いや身体が動かせない。)
(それならば、と風を操ろうとするが、ふっと足場が消失する――。)

「……ッ!!一体何が……ここは……?」
(起き上がり周囲を見渡すと、古びた洋館ではなくそこは肉の檻というべきだろうか。)
(巨大な生物に飲み込まれ、中に灯があるとしたらこういう景色になるのだろうか。)
(何にせよ、やることは一つだ。)
(あの少女も、この屋敷も。妖異と断定していいだろう。)

「もういいわ。――薙ぎ払え!」
(嵐のように風が吹き荒れる。)
(それも並大抵の嵐ではない。)
(台風のように激しい中に真空の刃が入り混じっている。)
(かつて妖魔の大群を一息に切り刻み葬った大技だ。)
(これを受けて無事で済む妖魔は見たことがない。)

「……ふん。」
(暫くして特に反撃も反応もない。)
(なすすべなく切り刻まれたか、と判断して技を解いた。)