「ひぁ?」
一瞬で断ち切られた拘束
その状況を魔物は目を丸くして見ていた。
「あ、あああ」
圧倒的な実力差が双方に伝わっていた。それを考えると、魔物は後ずさりをし始める。

「ま、まて……すこし待て!」
勝負があった。
もし観客が居たらそう判断したであろう。トドメの一瞬だった。
状況が変化したのは、
「この……来るな!」
魔物がそう言った瞬間に、そして彼女が魔物にトドメを誘うとした瞬間。
彼女の下のひび割れた床が崩れ落ちた。

崩れた床の先は地下の広めの空間であった。
だが、そこにはまるで蜘蛛の巣のように大量の白い菌糸が部屋中を覆い彼女を待ち構えている。
そして、そこに少女を捕えるためのモノだという事がすぐにわかる。
「ふははは、かかりましたね!」
そこはキノコの胞子のようなものが満ち満ちていた。
彼女の弱点と言わんばかりの汚れた空気。さらには、大量の魔の胞子はエネルギーを取り込み風を操る事を阻害する。

「ははははは」
さらに彼女の腕、特に刀へと向かって上から大量の菌糸も降ってきた。
菌糸というよりかは嫌な臭いのする白い粘つく液体と言った王が正しいかもしれない