(ある日の朝、布団に包まって寝息を立てている少女の姿があった)
(すると少女の傍で、2つの目覚まし時計が甲高い電子音を立て始める)
……ん…う……
(僅かに瞳を開いてぱたぱたと手を動かし、1つ目の目覚ましのアラームを止める)
(そして2つ目の目覚ましに手を伸ばそうとした時、パッと眠たげな瞳が見開かれた)
んわわわわっ!
(ガバッと目覚ましを手に取って時刻を確認し、ホッと息を吐く)
よかった…寝坊しなかった…
(今日は耀と前から約束していた旅行の日)
(小学生のように夜に寝付けなかった少女は、まだ覚めていない意識のままよたよたと起き上がる)
(ベッドの傍のキャリーバッグの中を確認しながら、最近の耀との生活を思う)
(あの日少女は、耀の身体を自分の身体で…特に舌で味わった)
(それから耀とは、食事を口移しで食べるのが習慣のようになっていた)
(ヨーグルトのような冷えた食べ物でも、耀の口の中で温められた物の方が美味しく感じられるようになっていた)
(口移しで伝えられる耀の体温が、この上ない甘味に感じられた)
…えへへ…
(その時の何とも言えない感覚を思い出したのか、思わず顔をにやけさせてしまう少女)
(忘れ物がない事を確認してから耀と一緒に館を出て、人里にある駅へ向かう)
(元々人間として生活していたから、自然に人間のように行動している)
(まだ薄暗いホームに立っていると、隣の耀が話しかけてきた)
んぁ…まだちょっと、眠いかな…
(小さく笑って答えると、耀が少女の手を握ってきた)
あ…
(ハッとしたように繋がれたてを見て、嬉しそうに耀を見上げる)
えへへ…でも、もう眠くなくなったよっ
(少女も耀の手を握り返して、電車が来るのを待つ)
【耀さん、お待たせしました!】
【あと今日は23時くらいまでロールできるので、耀さんが宜しければそれまでお願いします】