>>204
(黒い霧は聖なる炎により薙ぎ払われ、足元に咲き乱れていた彼岸花や屋内だというのに降っていた霧雨は消失した)
(相変わらずこの場には妖魔の不穏な気配が漂っており、まだどこかに鬼か他の妖魔が存在するのか、またはもともとの気質がそうさせているのかはわからない)

実に強烈な一撃だ……あと少し霧を展開するのが遅れていれば私の身も危うかったな。

(不意にどこからか声がすると、正美の背中に強い打撃が撃ち込まれる)
(鬼は杖を握っていた右腕が肘から先よりなく、そこから黒い煙が立ち上っているように見える)

油断していたというのもあるが、妖力を召喚に割きすぎてしまったのはいささか誤算だったな……お陰様で再生にも時間がかかるありさまだ。

(しかし、右腕が欠損しているとはいえ鬼の力は尋常ではなく打撃を打ち込んだ直後に正美に向かって蹴りを仕掛ける)
(その一発一発が鬼の瘴気を多量に体内に入れ、黒霧で倍増された正美の身体には絶頂に至るほどの快感を与えるだろう)