そう? 残念ね、もったいないこと。
(腰紐から前垂れへと指をすべらせ、ひらひらとからかうように前垂れをひらめかせてみせつつ、)
(ミズチの視線はへたり込んだ琥珀を、頭のてっぺんから内股で草むらに沈んだ膝先まで見下ろす)
(なんか変なのよね。何かしら? なんかにおいがするの。このにおいは何だったかしら?)
(頭の中にもやもやしたものが浮かぶが、それはちゃんと形にならない)
(ミズチの意識では琥珀を女性と認識しているが、ついつい男性へのからかいをしてしまっているのは、ミズチの深い部分でそのにおいを感じているからだろう)
ふーん、同人誌ねぇ。
私たちのお花見が噂になってるのは知っていたけど、プライベートなことだし、年に一回の宴に水をさされるのはちょっと、ね。
(龍宮講の巫女として、アイドルの乙姫ちゃんとして、隠したいこと、表沙汰にできないことは多々ある)
(琥珀を上手に利用するにしても、渡辺総司と違って茹でに覚えはなさそうなので、扱いを間違えると弱点として攻められそうだ)
(ミズチが守るわけにもいかないし、龍宮講を使うのは本末顛倒だ)
そうね……あ、ちょっと待って。
(琥珀の目の前にヒラヒラした花柄の薄い布地が落ちてくる。ミズチのふんどしだった)
(元々緩めにはくもので、さらに散々引っ張ったりさせていたので、ミズチが八重桜の方へ向かうと背中を見せた時に外れてしまったのだ)
(程よくお肉がついてプリっとしたお尻と、その下で太ももの間に挟まれたミズチの女の子の部分がもろに見えてしまう)
(それだけではない。逆方向、背中には退魔師としては無視できないモノが存在した)
(水墨画のような絵が、青白い肌に墨で二匹の大蛇が絡み合う姿が描かれていた)
(その大蛇が琥珀を見据える。動いて、琥珀を見た。にょろにょろと大蛇は絡み合い、ミズチの背中からお尻の辺りを蠢いている)
宴会用にちゃんとゴザを持ってきてるのよ
お話しは長くなりそうだし、ゴザに座ってるお話ししましょう。
(神霊。力は失っているようだが、妖怪などには格を落とさず、神としての神格をたもっているもの)
(強い弱いは関係なく、扱いを間違えれば面倒なことになる存在。二柱、二対の赤い目が琥珀を見つめる)
(それは力なんて使っていないが、蛇に睨まれた蛙の気分が分かるような、存在の格で琥珀を見下ろす)
(その視線が不意に消える。ミズチがゴザを持って琥珀の方を向いたからだ)
(2メートル四方くらいのゴザを琥珀の前にひき、全裸のままゴザの上に足を崩して座る)
(琥珀よりも一回りは大きそうな胸のふくらみも、陰毛がまったく生えていない女の子の割れ目も、何もかも琥珀から丸見えだった)
(ただ、背中の存在は正面には現れてくれないようだった)
琥珀さんも呑む? 二百年物の泡盛の古酒で作られた御神酒よ。
明治の頃に好事家が本土へ持ち帰って戦火を逃れた貴重なものなの。
(普通のサイズの盃とひょうたんの徳利を持ってお酒を進める)
まず、琥珀さんが私たちを見て、何だとおもったのかを教えて。
それを聞いて、なにをどう教えるかを考えるわ。
貴方だけじゃなく、サークルの人にもとばっちりがあったら目覚めが悪いでしょ?
【置きレスだよー。酔っ払いはタチが悪いのよ】