(硬くなったり縮んだり、紙一重の勝負だった)
(裸を晒すことに羞恥を見せない彼女に対しても複雑な心境だった)
(自分はあんなに楽しそうに振舞えない)
(本当の自分を晒すことは、どっちつかずの半端者であることを晒すのと同義)
(親しい人たちにカミングアウトをしたことはある)
(多少戸惑ったが、以前と同じように振舞おうと努力してくれた人もいる)
(有難いと思うと同時に、気遣いを強いて申し訳ない気持ちで一杯だった)
(そして、両親以外に本当の全裸を晒したことは、未だにない)
ぶふっ!ふふ、服はもう着てもいいですよね。
と言いますか、僕もう寒いので着ますよ!
(さあこれから真面目なお話を、と思った矢先にぷりりとした臀部を目撃して)
(思わず吹き出す。刺激が強すぎて困ります。意志とは無関係に再び血液が)
(一点に集中するのがわかる。けれど、どうしても見逃せないものがあった)
(けれど、それよりも先に服を着よう)
(視線を外してブラを拾いながら、さきほどのシーンを想起する)
(あれは蛇の入れ墨か。絡みあう二匹の蛇の図案だった)
(蠢いていた。それが、ただならぬものであることだけは理解できた)
(……見られていた)
(あれに見られて、とてもではないが半裸でいることに耐えられなかった)
(気配はない。正確にはその境界がわからないというべきか)
(人間の霊気と違い、神の気配は透明でありのままなのだと巫女だった母は)
(教えてくれた。言うなれば、神は自然現象の顕れ方そのものなのだとも)
(風を司る神さまがいるのなら、吹き付ける風そのものが神の存在性なのだろう)
座るのはいいんですけど。
ですから、その、服を着てください。目のやり場に困ります。
(全く整えられていないが、パンツと上着一枚だけ着てようやく少しだけ落ち着く)
(だと言うのに、乙姫ちゃんは全裸のまま足を崩して座っている)
(対面に座るものの、どこに視線をやっていいかわからない)
(男だって女だって、女性がそんな姿していたら対応に困るだろう)
未成年ですから遠慮します。
……僕の個人的な感想ですか。そうですね……
とても楽しそうでした。だからお邪魔するのが無粋なのはわかってました。
それに関しては謝ります。すみませんでした。
(未成年の飲酒を咎める場面なのだろうけれど、それこそ無粋なのであえて流す)
(個人的な感想を問われたので、正直な所感を述べる)
このお祭りに関しては正直に話すつもりはなくなりました。
この季節になると大量の蛇が沸くとか、地元の人が伝統を復活させる祭りを
やっているとかありきたりな話をでっちあげるだけです。神様や巫女さんとの
適切な距離の取り方を誰もが知っているわけじゃありませんし。
だったら最初から曖昧にしておくまでです。
枯れ木に桜が咲いたのは、説明しようもありませんしね。
【置きレスにお借りしました】