>>116
そう? あなたって、て、て……くちゅんっ!
ん〜〜、ちょっと冷えてきた、か、も……くちゅんっ!
(「同性の裸なんて気にしてたら銭湯とか入れないんじゃ?」と言おうとしたミズチだったが、)
(野球拳の興奮も収まってきたのか、急に寒さを感じてくしゃみを連発してしまう)
熱燗も用意すれば良かったって、毎年思っちゃうのよね。
みんな、手伝って。
(仕方なく蛇たちに脱ぎ捨てた衣類を集めてもらって着始める)
(手足もないのに蛇たちは器用に頭へ衣類を引っかけてミズチの元へ運んでくれる)
(ミズチは、そんな蛇たちの頭をヨシヨシと撫でて、大盃に注がれたお酒を呑ませている)
(イルカショーのトレーナーとイルカみたいだが、イルカショーのように全年齢とはいかないだろう)
(何だかんだで蛇は怖いし、何よりもトレーナー役が全裸では子どもに見せることはできない)

私はあまり詳しくはないけど、琥珀さんのそーゆー研究って、一緒に呑みながらの方がお話しを聞けるんじゃないの?
今回は野球拳でチャラにしちゃったけど、仲良しになったならお邪魔なんて思わないもの。
(無粋なのはもう気にしていない。代わりにお酒に付き合ってくれないことへちょっと嫌みを言う)
(年齢の割に色々な経験をしているミズチでも、学問のことはさほど詳しくない)
(研究室にこもるタイプと、外をかけずり回るタイプがいて、後者は調査対象の中へと入り込んでいく)
(琥珀のサークルの研究は後者だと思ったからだ)

うんうん、それが正解ね。
うちの顧問弁護士は優秀だそうだから、そのまま本にしたらサークルの人たちは困ったことになっていたはずよ。
就職できないどころか、退学にされてしまったかも。
(これは半分脅し。ミズチ自身にそのつもりがなくても、龍宮講の信者は何をしでかすか分かったものではない)
(権力者でもそう都合良く力は振るえないだろうが、いざとなれば命を奪うことにためらいはない)
(ミズチの実の両親も、ミズチと、ミズチに宿った蛇神様を奪うために殺されたのだから)
だから、正解を選んだ琥珀さんには……そうね、聞いても困らないことを教えてあげる。

(話をしている間に、やっとミズチは着替え終える。が、だいぶいい加減で最初に見たときのような神々しさはない)
(ふんどしとブラジャーはゴザの上に転がったままだし、胸元もはだけて時々ふくらみが露わになってしまう)
(ただ、そこへ視線を移すと見透かしたように薄墨で描かれたような蛇がにょろにょろと視界に入ってきて、)
(ミズチが無防備に裸体をさらしているのは、この蛇に守られている安心感からというのが伺えた)
私の神様は幸運を呼ぶ白蛇の神様。夫婦円満の神様でもあるわ。
ほら、二対二柱、雄神と雌神、夫婦の神様だから。
(ミズチがさらに襟元を開くと、薄墨の蛇は胸元から首へと登っていき、ミズチの両頬で蛇頭を揺らめかせる)
4年くらい前にこっちへ引っ越してきて、地元の子たちと仲良くなるにはどうしたらいいか、
神様と相談して思いついたのが、このお花見なの。
みんなお酒が大好きだし、動物園の狭い檻の中で窮屈な思いをしてる子もいるしで、とても大好評になって、
それ以来、毎年このころに一夜だけの夜桜を楽しんでいるの。
(ミズチが手を伸ばすと、何匹かの蛇がにょろにょろと絡んだり、指先を細長い舌でなめたりする)
(本来、こんな人懐っこいペットのような自然の蛇は存在しない。異形、妖怪扱いされてもおかしくはない)
(何百年も前のおとぎ話のような光景。神の力が介在するこの場は、現代社会では消えて無くなっていたはずのもの)
人払いはしてるけど、ごく少数、見えちゃう人もいるから、それが巡り巡って琥珀さんをここへ呼び寄せた。
それは、ただ野球拳を楽しむためじゃなくて……そう、何か必然となる理由があるはず。
(それは何か、考えてみて。と、言わんばかりにミズチは琥珀をまっすぐ見つめる)
(聞いても困らないことを教える、ふりをして、彼女とどう関われるか、ミズチと蛇神様の味方に引き入れられるか、)
(悪く言えば、琥珀へ毒牙を突き立てようとする)
(と言いつつ、3割くらいは野球拳に付き合ってくれる変な人と友達になりたい、とも思っている)

【置きレスです】
【これを書くのに1時間半くらい? 病後のリハビリにはなったかな、たぶん】
【なので、金曜の夜か、土曜の夜にロールできるくらい体力は回復したはず】
【琥珀さんと都合が合う日にロールを再開したいです】