(今回の依頼は渡辺にとって向いていないタイプの依頼だ)
(すなわち、戦闘のないただの調査依頼)
(昼と夜の境目、夕方にのみ現れるという怪異の調査)
(場所は街はずれの踏切、近くには小さな駄菓子店と雑居ビル、アパートが複数)
(被害は――電車が通らない時間に発生する、不自然な轢死体)
(万が一戦闘も考えられ、奇襲を受けたとしても平気な人材ということで)
(渡辺の方に依頼が飛んできたのだ)

……ったく、調査なんて俺のやることじゃない。
とっとと切り上げて帰るか……

(すると踏切のベルが鳴り始め、辺りが真っ赤に光る夕陽に照らされはじめる)
(カンカンカンと鳴り響くその音にチッと舌打ちし、だが踏切を見て違和感を覚えた)
(ベルが甲高く鳴っているにも関わらず、遮断機が下りていない)
(いや、さらによく見てみれば、そもそも遮断機がない)

どうなってんだ……こりゃあ……

(辺りが夕陽に照らされ遠景が揺らぎ、踏切のベルだけが鳴る異様な光景)
(渡辺の強靭な身体だけではどうしようもない、姿を現さない異形との遭遇であった)


【それじゃよろしくお願いします】
【何か質問あったら遠慮なくどうぞー】