>>350
(いきなり藍に話しかけてきた少女は、まるで人形のようだった)
(透き通るような肌は白磁のようであり、大きい丸眼鏡も人形に合わせるアクセサリーだと思わせる形だ)
(学園で何度か見たかな、と藍は思いつつ返答する)

「こんにちは、いやこんばんはかな?いい人形だと思うよホント。
 こんな綺麗な見た目なのに中身は今でも動くからくり仕掛け、中古でなんと六千円!」

(からくり人形は西洋の女性と男性を足して割らなかったような、中性的な顔つきをしており)
(その身体もまた、どちらにも見える奇妙な体格をしていた)
(髪の色は金だが、表情はまったくの無表情だ)

「私の名前は藍青子、みんなからはランちゃんって呼ばれてる。
 あなたの名前は?」

(ベンチの席を横にずらし、藍の隣に座るよう促す)