>>362

(来栖が人形と目を合わせている間、藍は火縄銃のキーホルダーにずっと指をかけていた)
(人形に動きがないか、友好的に動くようであればよし)
(もし敵対的に動けば、即座に撃ち抜くつもりだったのだ)

「ずいぶんと簡単だね。もっとこう……捧げ物とか魔法陣とかいるのかと」

(既に日は沈んだものの、高い湿度と下がらない気温が辺りに漂う中、ふと冷たい風が二人と一人の間を駆け抜ける)
(おそらくは来栖が何らかの力を使ったのだろうと藍は思い、キーホルダーから指を離す)

(ベンチに寄りかかって座る来栖は公園の電灯に照らされ、どこか儚げだ)
(先程の名付けの最中に見えた人形のような関節、そして今見える首に巻かれた包帯)
(人形に知識があるというのは、おそらく必要に駆られて、というのもあったのだろうと藍は考えた)

「でも……お疲れ様。雅ちゃんが何であれ、私を助けてくれたことに変わりはないよ。
 携帯、持ってる?番号交換して、また何かあったらお互いに手伝うってのは……どうかな?
 用心棒以外にも手伝えること、あると思うよ」
 
(藍は来栖の隣に座り、自分の携帯を差し出す)
(一世代古いスマートフォンだが、頑丈で連絡には支障はないタイプ)
(そしてぶら下がる火縄銃型のキーホルダーは、少し奇妙だ)

【そろそろ〆ます?】