(抱えた女性はか細いながらも息はしているし、脈はある。)
(とはいえ危険な状態であることには変わりがないだろうと緋彩の素人目に映る。)
……あ、はい。ありがとうございました
私は、華南緋彩と言い……ます
(変に動かすのもよくない、という話だったからとりあえず楽な姿勢で横にすると)
(ライフルのようなものをしまった女性に向き直り、小さく頭を下げた)

えっと……私に、ケガはないですけどこの人、の、応急手当とかした方がいいんでしょうか
(した方がいいのは決まっているのだが、どうにもその手の知識には疎く)
(また救急車を呼ぶにしても事情をどう話すべきなのだろうかなどと思案しながら)
(前髪に隠れた瞳で女性に助けを乞うように視線を送る)
(こなれた口調やすらっとした背の高いその人は何かと頼りなりそうな雰囲気を感じた。)